· 

スイッチング電源 vs リニア電源

以下のような噂があります。事実でしょうか?都市伝説でしょうか?

  1. スイッチング電源より、リニア電源の方がノイズが少ない
  2. ラズパイのmicroUSBから給電するより、GPIOから給電した方がヒューズとMOS FETをスキップできるのでノイズが少ない
  3. ラズパイとDACのアナログ部を分離給電すると、ラズパイのレギュレーターの悪影響を排除できるのでノイズが少ない

ここでいう残留ノイズとは、電源が直接出すノイズのことではなく、ラズパイとDACを経て最終的にDACのLineアウトから出てくる残留ノイズのことをさします。気になるので調べてみました。

DACはHiFiBerry DAC+ Proを使用。

 

 

使用した電源は2種類: 

  1. ダイソーで300円で売っている2.4AのスイッチングACアダプター(上の写真の左)
  2. L.K.S Audio製 LPS-25-USB 5V/3.5Aのリニア電源(上の写真の右)

 

給電方法は3通り:

  1. ラズパイのmicroUSBから、HiFiBerry DAC+ Proにも給電
  2. HiFiBerry DAC+ Proの+5V/GND端子から、GPIO経由でラズパイにも給電
  3. HiFiBerry DAC+ ProのR14抵抗を除去して、ラズパイとHiFiBerry DAC+ Proに別々に給電
    (HiFiBerry DAC+ Proの分離給電方法は こちら を参照ください)

電源(2)×給電方法(3)=6通りのパタンで残留ノイズを測定しました。測定方法は、

  • オシロスコープ(Tektronix TBS 1052B)でPeak to Peak (Pk-Pk)を測定
  • プローブは標準の10:1プローブを試したところ環境ノイズを拾うので、代わりにBNCケーブルを使用
  • ラズパイからは無音の(値0の)WAVファイルを再生して約20秒間隔で10回Pk-Pkを測定し平均をとる

さて、結果をみて行きましょう。

まずはダイソーのACアダプタからラズパイのmicroUSB経由で給電します。DACのLine出力にもかなり明確なスイッチングノイズを確認できます。Pk-Pkで約13mVの残留ノイズがあります。

 

次にHiFiBerry DAC+ Proに給電し、GPIO経由でラズパイにも給電です。残留ノイズはほとんど変わらず、むしろ微増でPk-Pkで約14mVです。

次にL.K.Sのリニア電源で試してみます。ラズパイのmicroUSB経由で給電しても明確に残留ノイズが減っており、Pk-Pkで6mVです。

 

ただラズパイのレギュレータの影響か、若干のノイズが残っています。これはDAC/GPIO経由の給電で解消できるでしょうか?

 

結果は効果なく、DAC/GPIO経由でも残留ノイズはまったく変わらずPk-Pkで6mVです。

次いで分離給電です。HiFiBerry DAC+ ProのR14抵抗を除去し、ラズパイの電源とDACのアナログ部を分離します。ラズパイにはスイッチング電源で給電し、HiFiBerry DAC+ Proにはリニア電源で給電します。結果、スイッチングノイズは無くなり、Pk-Pkはなんと1.8mVです。(左)

 

次いでHiFiBerry DAC+ ProにダイソーのスイッチングACアダプターから給電してみます。驚いたことに非常に良い結果が得られ、若干のスイッチングノイズは残りますが、Pk-Pkで5.4mVでした。

結果をまとめると左のようになります。残留ノイズに関して言えば、当初思っていた以上にリニア電源と分離給電の効果は高いです。

ただし、この残留ノイズが実際のリスニングにどの程度の悪影響があるか?は別問題です。実際に聴き比べてみました。アンプはDENON PMA-800NEです。まずはダイソー電源&microUSB給電から。第一印象は「これで十分じゃない?」残留ノイズによる著しい悪影響はないようです。次いでリニア電源&分離給電。素晴らしくクリアな音で、協奏曲でも楽器ひとつひとつがわかります。プラシボーかも知れないけど。では、ここまでやる価値があるか?というと無いような気もする。ここまで計測しておいて、結果も出しておいて、ちゃぶ台返して申し訳ありませんが...

 

可聴域への影響を定量的に調べたいのですが、現状は可聴域の歪みやSN比を簡単に測定できる環境がありません。yaMPC 1.2の開発が一段落したら、次回はTHD+Nで比較してみたいと思います。

では、締めに最初の疑問に戻りましょう。

  1. スイッチング電源より、リニア電源の方がノイズが少ない → 事実
  2. ラズパイのmicroUSBから給電するより、GPIOから給電した方がヒューズとMOS FETをスキップできるのでノイズが少ない →
  3. ラズパイとDACのアナログ部を分離給電すると、ラズパイのレギュレーターの悪影響を排除できるのでノイズが少ない → 事実

2019.05.23 誤記訂正

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    うひょ (火曜日, 14 4月 2020 16:40)

    リニアVSスイッチングですが
    電池充電用でリプルが多くスイッチングノイズ対策無しなダイソーの電源と比べるのはどうなんでしょう…?
    公平にやるならハードオフとかで350円のトランス式電源アダプターとダイソー電源を比較すべきだと思いますが

    TDKの産業用スイッチング電源(これもスイッチングノイズ対策は無いですが)と比較してみてはいかがでしょう?

  • #2

    Open Audio Lab (土曜日, 18 4月 2020 11:45)

    うひょ様、
    コメントありがとうございます。実はこの実験をする前は「どうせラズパイがノイズを出すので、電源をリニアにしても価格に応じた効果はない」と予想していました。そのため、できるだけコスパが不公平になるように、スイッチング電源は安いもの使いました。しかし予想が外れましたので、次は可聴域のノイズだけを測定しようと思い、yaMPC 1.2の開発完了後にWaveSpectraとAnalog Discovery2で周波数解析をしたのですが、あまり精度のよい結果が出ませんでした。そのためブログには結果を紹介しませんでした。Analog Discovery 2では精度は低いもののTHD+NやSINADの相対値はわかりましたので、いずれ結果をまとめてブログに載せたいと思います。その後でスイッチング電源間の違いも測定できたらと思います。