最終更新日:2023年8月26日
動作確認:moOde audio player 8.3.3
このページは MPD (Music Player Daemon) ベースのラズパイ用ミュージックストリーマーである moOde™ audio player(以下Moodeと略します)のRaspberry Piコンピューター(以下ラズパイ)へのインストールと設定の方法を紹介します。Moodeのインストールと設定は、こちら←に英語のドキュメントがありますが、以下に日本語で解説します。Moodeを動作させるのに必要な機器はラズパイオーディオ入門を参照ください。
Moodeはラズパイ標準のRaspberry Pi Imagerを使ってインストールできます。以下のページを参照ください。
Moodeを起動する前にNASかUSBメモリに音楽ファイルを用意しておきます。MoodeはWAV, mp3, m4aなどさまざまなフォーマットをサポートしますが、私のお勧めはFLACです。
アルバム毎にフォルダを作り、そのフォルダの下にアルバムに含まれる曲の音楽ファイルを入れます。アルバムのカバーアート画像も、Folder.jpgという名前で同じフォルダに入れます。(左図。このページをスマートフォンからご覧の方は上の図。以下も同様)
MacからUSBメモリに書き込むと、.DS_Storeファイルと "._" で始まるファイルが作られます。MPDはこのうち、"._" で始まるファイルを音楽ファイルと誤認する場合があります。yaMPCは(可能な限り)これらのファイルを無視するようにしていますので実害は少ないですが、Macをお使いの場合はUSBメモリを取り出す前に、ターミナルのコマンドラインで dot_cleanコマンドを使って "._"で始まるファイルを削除してください。
dot_clean -m -v [directory ...]
例1:dot_clean -m -v /Volumes/SANDISK
例2:dot_clean -m -v .
なおMoodeにはファイル共有機能がありますから、後ほどPCやMacから、USBメモリやNASに音楽ファイルをコピーすることもできます。(「4-4.音楽ライブラリの設定」ファイル共有機能 参照)
ラズパイにmicroSDカードを挿入します。
左の写真ではI2S DACのHiFiBerry DAC+ Proをラズパイに載せていますが、USB DACを使う場合はラズパイのUSBポートに接続してください。DACからアンプにオーディオケーブルを接続しておいてください。
有線LANを使う場合はLANケーブルを接続してください。
音楽ファイルをUSBメモリに入れた場合は、「4-4.音楽ライブラリの設定」までに、USBメモリをUSBポートに挿入してください。
最後にmicro USB(ラズパイ3B)またはUSB-C(ラズパイ4B)の給電ケーブルを接続してください。
給電開始から約1分程待って、PCまたはMacのブラウザから、
http://ホスト名.local
にアクセスします。
例えばホスト名がmoode8の場合は、
http://moode8.local
です。左の様な画面が表示されたら起動成功です。
注記:企業用のPCでドメインネットワーク(Active Directoryなど)で管理されているとホスト名.localでは接続できない場合があります。その場合はIPアドレスを指定して接続してください。
http://<IPアドレス>
例:http://192.168.0.10
Moodeに割り当てられたIPアドレスは Advanced IP Scanner などで調べてください。
4-2. オーディオデバイスの設定
まずは HiFiBerry DACのようなI2S DACの設定を説明します。
Powerを選ぶとPower Options画面が表示されますから、そこでRESTARTボタンをクリックします。
1分ほどで再起動して左の画面が表示されます。
Output deviceには I2S audio device と表示されているはずです。
Volume typeは Hardwareになっています。HiFiBerry DAC+ Pro(後継機種のHiFiBerry DAC2 Proも)ハードウェアボリュームに対応していますからHardwareのままで結構です。アンプでボリュームコントロールする場合は、DACのボリュームは不要ですから、Fixed (0dB output)に変更してSETをクリックしてください。
再起動後はNamed I2S deviceが指定した通りになっているはずです。この場合はHiFiBerry DAC+ Proです。
次にUSB DACの設定方法です。USB DACをラズパイに接続しOSにより正しく認識されると、Output devicesの候補にDACの名前が表示されますので、選択してSETボタンをクリックします。
アンプでボリュームコントロールする場合は、Volume typeをFixed (0dB output)としてください。
4-3. 音声出力の動作確認
オーディオデバイスをセットしたら音が出るはずですから、動作確認してみます。スピーカーをアンプに、DACもアンプに接続し、アンプのボリュームを適度な音量にセットしてください。
Audio画面の左上にある家アイコン(ホームボタン)をクリックし、ホーム画面の右側の Tap on the cover art to switch to the Libraryと書いてある赤点線の四角(「5-1. Moodeへの接続」の画像参照)を2回クリックしてください。
すると左の画面が表示されます。ここでSDCADをクリックしてください。
Stereo Testというフォルダが表示されますから、それをクリックすると LR Channel And Phase というトラックが表示されます。
LR Channel And Phaseをクリックし、表示されるメニューからClear/Playを選択してください。
その後、画面下部の Tap on the Playbar to switch to Playback と書いてある赤点線の四角を2回クリックしてください。
Stereo Testが再生されていますが、ボリュームが0の場合は音が聞こえません。
画面にボリュームが表示されていない場合は、スピーカーアイコンでボリュームをセットできますが、ウィンドウを拡大すると画面下部にボリュームが表示されます。
画面中央下部にボリュームが表示されたら、再生ボタン(▶️アイコン)をクリックして再び再生を開始し、+ボタンまたは画面上のノブをドラッグしてボリュームを調整してください。
音声が聞こえたら動作確認完了です。
4-4 音楽ライブラリの設定
次にUSBメモリやNASなど音楽ファイルを置くライブラリの設定です。
再びmボタンをクリックし、メニューからConfigureを選択します。
Configuration SettingsからLibraryをクリックします。
音楽ライブラリのの設定画面「Music Library」が表示れます。
USBメモリはラズパイに刺すだけで自動マウントされます。REGENERATEボタンをクリックするとUBSメモリ内の音楽ファイルのタグを読み取り音楽ライブラリのデータベースが作成されます。
NASはマウントの設定が必要です。NASの設定はCREATEボタンをクリックしてください。
CREATEをクリックすると、Music Source画面が表示されます。
を入力しSAVEをクリックすればマウントできます。
Advanced設定のMount optionsはデフォルトでは下記の通りです。
ro,noserverino,cache=none,dir_mode=0777,file_mode=0777
NASがマウントできたら、USBメモリの場合と同様にREGENERATEボタンをクリックしてください。
前述の通りMoodeのファイル共有機能を有効にすることで、PCやMacから、USBメモリやNASに音楽ファイルをコピーすることもできます。
ファイル共有機能を有効にするためには、m → Configure → Systemの画面で File sharingの SMB (Samba) をONにしてSETボタンをクリックします。(左の画面)これでPCまたはMacからCIFS(ファイル共有プロトコル)でアクセス可能になります。
Windows :ファイルエクスプローラのアドレスバーに「¥¥ホスト名」(例:¥¥moode8)と入力します。
Mac:Finderメニューの「移動」→「サーバーへ移動...」で「smb://ホスト名」(例:smb://moode8)と入力し「接続」をクリック。またはFinderの「場所」にホスト名が表示されますからクリックしてください。
USBメモリはUUIDが共有名になります。(上記の例ではF37F-DB13はUSBメモリです)
NASやUSBメモリにドラッグ&ドロップでファイルをコピーできます。アルバムのフォルダ単位で音楽ファイルをコピーしてください。
microSDカードにも音楽ファイルをコピーできますが、あまりお勧めはできません。誤って残容量を0にしてしまうとMoodeの起動・実行に支障がありますし、OSの再インストール時は再度音楽ファイルをコピーする手間が発生します。テスト用の音源を少し入れておくには便利でしょう。
音楽ファイルのコピーが完了したら、m → Update Library で音楽ライブラリを更新してください。
4-5. 音楽ライブラリの再生
音楽ライブラリの設定ができたので、手持ちの楽曲を再生できます。画面左上の家アイコン(ホームボタン)をクリックしてください。
この画面(再生画面)が表示された場合は、画面右側のカバーアート(ここではmoOdeと表示されている部分)をクリックしてください。ライブラリ画面に移行します。
ライブラリ画面からは、画面下部の再生コントロールが表示されているバーをクリックすると、この画面(再生画面)に移行します。
ライブラリ画面左上のLibraryメニューから Radio(インターネットラジオ局一覧)、Folder(USBメモリ、NASなどのフォルダー階層を辿って曲を見つける)、Tag(Genre, Artist, Albumなどのタグで絞り込み)、Album、Playlistなど音楽ライブラリからアルバムや曲を探す方法を選択できます。
LibraryメニューからAlbumを選択すると、アルバムの一覧が表示されます。アルバムをクリックし、メニューからClear/Playを選択するとアルバムの最初の曲が再生されます。
「4-5. 音楽ライブラリの再生」の最後にMoode Web UIの使い方のおさらいです。ライブラリ画面下部の再生パネル(赤枠)をクリックすると、再生画面が表示されます。再生画面でカバーアートの部分(赤枠)をクリックするとライブラリ画面に戻ることができます。ライブラリ画面左上のLibraryメニューで音楽ライブラリからアルバムや曲を探す方法を選択できます。右上のmがメニューボタンです。mボタンのメニューからMoodeの各種設定(Configure)、ライブラリの更新(Update Library)、シャットダウンと再起動(Power)を選べます。
4-6. Spotify Connect と AirPlay
MoodeはSpotify Connectをサポートしていますので、SpotifyアプリからMoodeを指定して再生させることができます。AirPlayもサポートしていますから、iPhoneからApple MusicやAmazon Musicの再生をAirPlayでMoodeに送ることができます。
残念ながらGoogle標準のChromecastはサポートしていませんが、Android端末からはBluetooth経由でMoodeに接続して再生させることは可能です。
Spotify Connect, AirPlay, Bluetoothともハイレゾには対応していませんが、多くの人にとっては十分な音質で再生できます。またMPDと音をミックスして再生はできません。Spotify Connect, AirPlay, Bluetooth再生中はMPDの再生は停止します。
いずれの設定もmボタンをクリックし、メニューからConfigureを選択し、Configuration SettingsからRenderersをクリックします。Renderers画面でBluetooth, AirPlay, Spotify Connect, Squeezelite, UPnP Client for MPD, DLNA Media Serverが設定できます。
Spotify Connect
対応するデバイスの多さと、Spotify Connectの使い勝手の良さから、私の音楽ストリーミングサービスの推しはSpotifyです。
Renderers画面のSpotify ConnectのServiceをONにして、SETをクリックすれば有効になります。Spotifyアプリの再生するデバイスのリストにNameで指定した名前(左の例ではでは Moode8 Spotify) が表示されるようになります。
EDITボタンでSpotify Connectの設定ができます。Initial Volumeが0になっているので注意してください。このままでは音が出ません。Spotifyアプリから接続してアプリ側でボリュームを上げるか、あるいは、Initial Volumeに適切な値をセットしてください(アンプで音量調整する場合は100でも結構です)。
Bitrateはデフォルトで160になっています。Spotify Premiumをサブスクリプションしている場合は320(最高音質)を指定できます。
AirPlay
AirPlayも同様に、ServiceをONにして、SETをクリックすれば有効になります。
iPhoneのApple MusicアプリからはAirPlay接続先の一覧にNameで指定した名前(デフォルトで Moode AirPlay)が表示されます。
iPhoneのAmazon Musicアプリからは再生する端末一覧からAirPlayを選ぶと、Moode AirPlayが表示されます。
Spotify Connect同様、音が出ない場合はアプリか端末側(iPhoneのボリュームボタン)で音量を上げてください。
以上でMoodeのインストールと設定は終わりです。お疲れ様でした。以降は補足情報になります。
こちらはLinuxのコマンドラインを使いこなせる上級者向けの内容になります。必須ではありませんが、Raspberry Pi Imagerで起動用microSDを作成した際に「SSHを有効化する」をチェックした場合は、PCやMacからsshコマンドでMoodeにログインできます。コマンドプロンプト(Windows)またはターミナル(Mac)を起動し、
ssh -l <ユーザー名> <ホスト名.local>
とタイプしてください。例えばユーザー名が pi でホスト名が moode8 なら
ssh -l pi moode8.local
です。パスワードを入力すればログインできます。
iPhone, iPadまたはApple Silicon Macをお持ちの方は、ぜひいちどyaMPCをお試しください。Moodeとの相性は非常に良いです。特にiPhoneをお使いの方はSafariでMoodeにアクセスした場合と、yaMPCの操作性を比較してみてください。まずはApp StoreからyaMPCをアプリをダウンロードして起動してください。
yaMPCから曲を再生しても、MoodeのWeb UIでも再生状態になります。逆にMoodeで再生しても、yaMPCでも再生状態になります。yaMPCもMoode Web UIも同じMPD(Music Player Daemon)にアクセスしているからです。
より詳しいyaMPCの使い方に関しては、以下を参照してください。
うまくいかない場合はyaMPCのサポートページを見てメールにてお問い合わせください。