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Rpi3B+ vs Rpi4B 温度・消費電流・CPU%

今年(2023年)の夏は猛暑のためラズパイの熱暴走?を心配された方も多いと思います。室温31℃の状態でmoOde™ audio player(以下 Moode)で192k/24bitのハイレゾ音源を再生し、ラズパイ3B+と4Bの温度を比較しました。ついでにラズパイの消費電力とCPU使用率も比較しました。

1. 温度

Raspberry Pi 3B+にヒートシンクを付けたもの(上写真の左)、Raspberry Pi 4Bにヒートシンクを付けたもの(上写真右)、Raspberry Pi 4Bにヒートシンクを付けないものの3種類のCPU温度(SoCのコア温度)を比較しました。CPU温度は以下のファイルから取得しました。

 /sys/class/thermal/thermal_zone0/temp
いずれもHiFiBerry DAC+ Pro(上写真中央)で再生し、HiFiBerry純正のプラスチックケース(下写真)に入れて、室温31℃で比較しました。

Moodeを起動後、すぐにLAN経由でNASから取得した192k/24bitのハイレゾ音源を60分間再生した後、再生を停止して60分間温度測定を継続しました。予想では再生を停止すると温度が下がると思ったのですが、そんなことはなく、いずれも温度は高止まりのままでした。高いと言っても67℃くらいですから、ラズパイの上限温度よりはかなり低いです。ラズパイの上限温度は85℃ですが、80℃に達するとthrottled backといってクロック周波数と電圧を下げて温度制御します。ラズパイ3にはsoft limitという機能があり60℃に達するとクロックを下げて温度管理をします。ラズパイ4は今のところsoft limitは定義されていません。詳細は下記をご覧ください。

 Frequency Management and Thermal Control

以下が3種類のラズパイの温度推移です。ご覧の通りヒートシンクの効果はさほど大きくありません。

2. 消費電流

次にMoode起動時、再生停止(アイドル)時、44.1kHz/16bitのFLAC音源再生時、192k/24bitのFLAC音源再生時の最大消費電流を比較してみました。ラズパイ3より4の方が多いですが、特に気にするほどの差ではありません。いずれも1A未満です。USB接続のHDDを接続しデータベースの再構築をすると、これより電流/電力を消費すると思います。

3. CPU使用率

最後にCPU使用率です。Moodeで44.1kHz/16bitおよび192k/24bit再生時の、MPDプロセスのCPU使用率、ユーザープロセスのCPU使用率、カーネルのCPU使用率の比較です。ラズパイ3の方が非力な分、CPU使用率が高いですが、それでも6%未満です。Moodeを使うだけでしたら特にCPU使用率について心配することはないでしょう。

しかし、この写真のようにラズパイにディスプレイを接続し、MoodeのLocal DisplayをONにするとChroniumが大量のCPUリソースを使用します。ラズパイ3では明らかに音質が劣化しました。測定しなくても耳で聞いてわかるレベルです。ラズパイ4では聴覚上は劣化を感じませんでしたが、CPU使用率は通常のWeb UIや、yaMPCのようなMPD Clientを使って再生する場合と比べて、桁違いに高くなります。

 

ラズパイ3ではX11とChroniumで80%近いCPU%を消費します。ラズパイ4で65%程度です。私は Moode Local Displayの使用を断念しましたが、Local Displayを使用するのであれば、ラズパイ3ではなくラズパイ4、しかもメモリ4GB以上がおすすめです。



4. 結論

  • ラズパイでMoodeだけを使用する限り、ラズパイ3でもラズパイ4でも発熱を気にする必要はない。
  • ヒートシンクの効果は限定的。必須ではないが、有った方が良い程度。
  • 消費電力の大きいローカルストレージを使わない限り、ラズパイ3もラズパイ4も2Aもあれば十分。
  • Moode Web UIまたはMPD Clientを使用する限り、ラズパイ3でもラズパイ4でもCPU使用率は非常に低い。
  • 以上、Moodeを使用する限り、ラズパイ3でもラズパイ4でも、どちらでも大きな違いはない。
  • ただしMoode Local Displayを使用する場合はラズパイ4をお勧めする。